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屋久島の植物ガイド

毎月,その月に屋久島で見られる植物を紹介します。この植物ガイドはその月の実際の調査結果に基づき,海岸や道路沿い,林道や登山道などで,花や実の見られる主な植物を紹介します。(屋久島環境文化財団発行「屋久島の植物ガイド」より)


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屋久島の植物ガイド【11月】
この月の様子 植物相 里地 海岸 低地 低山地 中~高山地

◆ 屋久島の【11月】 ◆


11月,屋久島の県道沿いには早くも冬の訪れを告げるツワブキの黄色い花が咲き始めています。大形のダンチクやススキの穂,サキシマフヨウやシロノセンダングサなどの花も今が盛りです。
 2000m近い山頂部では,11月中旬頃には初冠雪が見られます。標高1000m付近では,10月中旬頃から11月初旬頃まで,ナナカマドやマルバヤマシグレ,ヤクシマオナガカエデなどの紅葉が見頃です。また,低地の道路沿いでは,真っ赤なハゼ紅葉(もみじ)も見られるようになります。
 朝夕の空気は冷んやりとして心地よく,秋の野山を散策するには絶好の時期,ヒヨドリなどの渡り鳥の声,フユイチゴやアキグミなどの草木の実や紅葉など,屋久島の深まりゆく秋を存分に楽しんでください。
クシマオナガカエデの紅葉

ヤクシマオナガカエデの紅葉[ヤクスギランド線]


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◆ 屋久島【11月】の植物相 ◆

ヤクシマダケ草原帯
1800m以上
 山頂部はもう初冬の気配。ヤクザサ帯はススキの穂や紅葉が点在する。
 肌寒い風が吹きつけ,気温は氷点下(0℃)まで下がり,中旬頃には初冠雪も見られるので注意しよう。高所植物の花はほとんど見られない。
スギ樹林帯
800mから1800m
スギに混じってモミ,ツガなどの針葉樹やヒメシャラ,ヤマグルマなどの広葉樹が生える。
 登山道ではナナカマド,マルバヤマシグレ,カナクギノキ,ヤクシマオナガカエデなどの紅葉が11月初旬頃まで見頃。
照葉樹林帯
0~1000m
 スダジイやアカガシなどの常緑広葉樹林は,濃緑色の葉で覆われ,深い森を形成する。花は,サザンカ,カンツワブキ,キッコウハグマ,ホソバハグマ,ヤクシマショウマなど。
 実は,ミヤマシキミ,テンナンショウ,ヤクシマオナガカエデなど。 
海岸~低地
0~100m
  低地の県道沿いでは,ツワブキの黄色い花が盛りです。
 また,海岸近くにはホソバワダンやヤクシソウの黄色い花,低地ではサキシマフヨウのピンクの花,シロノセンダングサやツルソバの白い花,また,ダンチクなどイネ科やカヤツリグサ科の花も咲きそろいます。

山の図(秋)

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◆屋久島【11月】の里近くでみられる植物◆

ポイントのGIFツワブキ(きく科,花期10~12月)海岸~低地 [宮之浦]
ツワビキ
ポイントのGIF海岸や低地に普通に見られる多年草。
11月頃,県道沿いに咲く黄色い花はひときわ目を引き,晩秋の屋久島を彩る。葉は大形で円形,フキに似て濃緑色でツヤがある。
 和名はツヤのあるフキがツワブキに転訛(てんか)したもの。
 高さ50cm程の花茎が伸び,黄色の頭状花をつける。屋久島では仏教の御講(おこう)の頃,花が咲くことから方言で「オコバナ」。若い葉柄を食用とする。
ポイントのGIFサツマノギク(オオシマノジギク)(きく科,花期11~2月)低地[永田]
ポイントのGIF鹿児島県と熊本県の海岸線に生えるサツマノギクと奄美産のオオシマノジギクとの中間に位置する多年草。高さ30~60cm程でよく分岐する。葉は普通のキクとほぼ同じだが,葉の裏が銀白色の細毛が密生しているので,上面から見ると葉の縁が白く見える。晩秋から冬にかけて枝先に径4~5cm程の白い花を多数咲かせる。舌状花の白と筒状花の黄色の対比がとても美しく,園芸種と見まちがえるほどである。和名は「薩摩に生える野菊」の意。
サツマノギク
ポイントのGIFゲンノショウコ(ふうろそう科,花期7~12月)低地[宮之浦]
ゲンノショウコ
ポイントのGIF低地の道脇や草むらに生える多年草。
 葉は3~5裂し,ウマノアシガタ(有毒)に似るが,茎はつる状で,地面をはい,枝を分ける。
 夏から秋にかけて径1.5cm程の赤紫色の5弁花を点々とつける。花と同時に実もつき,その種子の飛ばし方がユニーク,観察してみるとおもしろい。
 古くからよく使われた薬草で,下痢止め,利尿に効き,飲むとすぐ効果があるというので,その名もずばり「現の証拠」。
ポイントのGIオオムラサキシキブ(くまつづら科,花期5~8月,果期10~12月)低地  [永田]
ポイントのGIF暖地の海岸近くの林縁に生える落葉低木。高さ5~6m程,葉は対生で楕円形。
 夏,葉のつけ根に淡紅紫色の花を多数つける。晩秋,葉を落とした枝に紫色に熟した実がいっぱいにつく様は,実に美しい。実枝は生花としても使う。       
 和名は,この実の美しさを平安時代の才女「紫式部」にあやかって付けられた。普通のムラサキシキブより花も葉も実も大きい。また,屋久島には小形のヤクシマコムラサキ(トサムラサキ)もある。

オオムラサキシキブ

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◆屋久島の【11月】海岸付近で見られる植物◆
(標高0~100m)

ポイントのGIFハチジョウススキ(いね科,花期9~11月) 尾之間
ハチジョウススキ
ポイントのGIF関東から九州の太平洋岸,小笠原に分布する大形のススキ。八丈島に多いのでこの名がある。                  
 茎は太く,高さ1~2m程,葉の裏は白色を帯び,表面の緑色も淡い。葉の縁はざらつきが少なく,手を切らない。       
 秋頃,普通のススキに混じって,大形の花穂を密につける。屋久島では,海岸近くに多く,ススキと見分けがつきにくい。
ポイントのGIナワシログミ(ぐみ科,花期10~12月,果期4~5月)[宮之浦深川海岸]
ポイントのGIF海岸近くに生える常緑低木。高さ1~2m程,密に枝を分け,枝にはトゲがある。葉は革質で固く長楕円形。
 秋頃,葉の脇に白い花をつける。花後,長さ15mm程の長楕円形の果実をつけ,春頃,赤く熟す。実は食べられる。
 和名は,苗代を作る頃,実が赤く熟すのでこの名がある。今頃,野原で小さめの赤い実を枝いっぱいにつけているのは「アキグミ」。
ナワシログミ

海岸~低地(標高0~100m)
(花)
・ノアサガオ ・ホソバワダン ・ツルグミ
・ウラジロフジウツギ ・モミジバヒルガオ
・ヤクシソウ ・シロノセンダングサ)

(実)
・アコウ ・ガジュマル ・シャリンバイ
・アオノクマタケラン ・トベラ
・クサトベラ ・ウバメガシ ・ハマビワ
・ハマヒサカキ など

海岸
(花)
・イソマツ ・イソフサギ ・シマチカラシバ
・オオキダチハマグルマ

(実)
・テリハノイバラ ・スナヅル 
・ハマゴウ ・ソナレムグラなど

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◆屋久島【11月】の海岸~低地で見られる植物◆
(標高0~100m) 
ポイントのGIF その他

低地
(花)
・オオバボンテンカ ・ツルソバ ・クマノギク
・ツルマオ ・アキノノゲシ ・ウスベニニガナ
・ミゾソバ ・スイカズラ  ・キツネノマゴ
・ムラサキカッコウアザミ ・シバハギ
・ヤマハギ ・ヤクシマカンアオイ
・ダンチク ・ササキビ ・ビワ

(実)
・ピラカンサ ・アキグミ ・オオカラスウリ
・トサムラサキ ・マサキ ・モクタチバナ
・アマクサギ  ・ヤマグワ ・フカノキ など

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◆屋久島【11月】の低地~低山地で見られる植物◆
(標高500m以下) 

ポイントのGIFヤツデ(うこぎ科,花期11~12月)吉田
ヤツデ
ポイントのGIF暖地の海岸や低山地に生える常緑低木。高さ2m程で。葉は直径40cm前後と大きく,枝先にまとまってつける。7~9つの深い切れ込みがあることから和名「八つ手」。
 晩秋,茎の先に大きな円錐花序をつけ,白い多数の花をつける。花後,直径7~8mmの緑の実をつけ,後に黒く熟す。
 ナンテンと共に庭木にもよく植えられる。実を竹鉄砲の玉にして遊んだ。
ポイントのGIハダカホオズキ(なす科,花期8~10月,果期11~12月)ヤクスギランド内
ポイントのGIF山野や野原に普通に生える多年草。高さ50~60cm程,よく枝を分け,葉は互生で長楕円形。
 夏頃,葉の脇から,淡黄色のナス科特有の花を数個つける。
 晩秋,径7~8mmの真っ赤に熟れた果実を多数吊り下げて美しい。
 和名は,ホオズキに似て,果実が袋状のがく片に包まれず,裸のように見えることから「裸ホオズキ」。ヤクスギランドには低地からの移入。

ホダカホオズキ
ポイントのGIFキジョラン(ががいも科,花期8~11月)ヤクスギランド線
キジョラン
ポイントのGIF暖地に生えるつる性の多年草。海岸林から標高300m付近まで見かける。長さ10m程にもなり,葉は濃緑色で光沢があり,円形で先が少しとがる。
 夏から秋にかけて葉の脇から短い柄を出し,淡黄緑色の小さな花を散形状につける。果実は長さ10cm程になり,長い冠毛を持った種子が中から飛び出す。
 和名は「鬼女蘭」で,種子の冠毛を鬼女が髪を振り乱した姿に見立てたという。蝶のアサギマダラの幼虫の食草。
ポイントのGIカンツワブキ(きく科,花期10~12月)ヤクスギランド線
ポイントのGIF種子・屋久の固有種。標高200~500m位の沢近くに自生する常緑多年草。
 普通のツワブキよりも小形で,葉は薄くハート形で長さ10~15cm程,縁には不規則な鋸歯がある。表面は光沢があり,裏面は灰白色の綿毛が密布する。
 秋,葉の間から長い花茎を出し,径3cm程のツワブキに似た黄色の頭花をつける。花後,白い冠毛の付いた種子が風で飛ぶ。
カンツワブキ

低地~低山地
(花)
・ヤッコソウ    ・オトコエシ  ・チャノキ
・ヤクシマノギク ・ススキ 
・ヒメノボタン    ・クワイバカンアオイ
・ハシカンボク  ・ヒメジソ

(実)
・クマノミズキ ・ウラジロエノキ・アカメガシワ
・スダジイ   ・イヌザンショウ ・イイギリ
・センリョウ ・マンリョウ・シマイズセンリョウ
・タシロルリミノキ ・シラタマカズラ
・マンリョウなど 

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◆屋久島【11月】の中山地~高地で見られる植物◆
(標高500~1900m付近) 

ポイントのGIFサザンカ(つばき科,花期10~11月)ヤクスギランド線
サザンカ
ポイントのGIF山野に自生する常緑の小高木。高さ5~6m。葉も幹もツバキに似るが,葉はツバキよりかなり小さい。屋久島では標高50~1300m位までの林道沿いでよく見られる。
 ツバキより一足早く,晩秋から初冬にかけて,径5~8cm程のやや大きな一重の5弁花を咲かせる。
 「山茶花」と書いて,サザンカと読み,お茶席の一輪ざしに欠かせない。
 園芸品種には,白,ピンク,赤等の外,八重咲き,一重咲きなど多彩である。方言「ヒメツバキ」。
ポイントのGIツルリンドウ(りんどう科,花期9~11月)ヤクスギランド内
ポイントのGIF標高500m以上の林道脇や樹林下などの半日陰のやや湿った場所に生える多年草。  茎は細いつる状で地面をはい,50~60cm程になり,草木に絡みつく。葉は披針形。秋頃,筒状の青紫色の花を咲かせる。花後,赤紫色の丸い果実がつく。
 標高1500m~1800m付近には屋久島の固有種で,径2cm程の青紫色の花を咲かせるハナヤマツルリンドウがある。果実が細長いのが特徴。

ツルリンドウ
ポイントのGIFモミジバキッコウハグマ(きく科,花期10~11月)ヤクスギランド線
モミジバキッコウハグマ
ポイントのGIF屋久島の固有品種。標高1000m以上の林道脇や木陰に生える多年草。葉は茎の下部で互生し,モミジの葉のように切れ込む。
 普通のキッコウハグマは,全国に分布 し,葉が三角状円形で浅い鋸歯がある。 和名は葉の形が亀甲(きっこう)に似ることによる。
 屋久島にはこの品種の外,タマゴバキッコウハグマ(品種)やホソバハグマなどの固有種がある。
 秋頃,葉の中心から長さ15cmほどの花軸が伸び白色の管状花をつける。
ポイントのGIミヤマシキミ(みかん科花期4~5月,果期10~11月)ヤクスギランド線
ポイントのGIF山地に生える常緑低木。屋久島では標高500m以上で見られる。高さ1m前後。樹 陰に生え,スギに着生しているものもあ る。細長い葉は厚く光沢があり,枝先に輪生する。春,枝先に円錐花序をつけ,多数の白色の花をつける。雌雄異株。晩秋,赤く熟した実が枝先にまとまってつく。
 和名はシキミに似て,深山(ミヤマ)に生えるのでこの名がある。有毒植物。

ミヤマシキミ
ポイントのGIFマルバヤマシグレ(すいかずら科,花期6~8月,果期9~11月)ヤクスギランド線
マルバヤマシグレ
ポイントのGIF屋久島の固有変種。標高1000m以上の林道や登山道脇に普通に見られる落葉低木。葉は卵形で,葉脈に沿って葉が波打つのが特徴。
 夏,枝先に複散形花序を出し,ピンク色の小花をまとまってつける。
 秋,葉は真っ赤に紅葉し,ナナカマドやヤクシマオナガカエデと共に屋久島の山の秋を彩る。実も真っ赤に熟す。
ポイントのGIFその他

中山地~高地
(花)
・ヤクシマツチトリモチ  ・ヤクシマヒヨドリ
・ヤクシマナミキ  ・ホソバハグマ  
・キッコウハグマ  ・コナスビ

(実)
・ハナヤマツルリンドウ ・ヤクシマコウモリ
・ナナカマド ・アオキ ・フユイチゴ
・ヤクシマオナガカエデ ・ユズリハ
・フユイチゴ ・メギ ・イソノキ
・テンナンショウ ・ヤマグルマ
・アクシバモドキ ・ヒメカカラ
・ヤクシマヒメバライチゴ
・ヒメツルアリドオシ
・サルトリイバラ など

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