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屋久島の植物ガイド

毎月,その月に屋久島で見られる植物を紹介します。この植物ガイドはその月の実際の調査結果に基づき,海岸や道路沿い,林道や登山道などで,花や実の見られる主な植物を紹介します。(屋久島環境文化財団発行「屋久島の植物ガイド」より)


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屋久島の植物ガイド【4月】
この月の様子 植物相 里地 海岸 低地 低山地 中~高山地

◆ 屋久島の【4月】 ◆


  4月,屋久島は樹木の若葉がすっかり出そろい,スダジイやクス,アカガシなど目のさめるような黄緑色の葉が照葉樹林を覆います。
 森の木々の生命が躍動する月です。林道では,エゴノキやハイノキなど早咲きの木々の花,野原では,黄色いキンポウゲ科の花,ピンク色のノアザミなど春の花々が盛りです。
 山頂部の春は今月の中頃から始まり,登山道から山頂付近にかけては,アセビやヤクシマショウジョウバカマの花も見られるようになります。
 山菜やタケノコ狩りも楽しみな時期。農家では早期米の田植えもほぼ終わり,水の張られた田んぼでは青々とした稲が風にゆれています。収穫の終わったタンカンは今が花盛り,やがてポンカンの花も咲き始めます。
新緑のヤクスギランド線

深緑が映える樹林帯[ヤクスギランド線]


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◆ 屋久島【4月】の植物相 ◆

ヤクシマダケ草原帯
1800m以上
 4月中旬から草木が芽吹き,山頂部もやっと春を迎える。下旬頃からアゼビの花が見られるようになる。
スギ樹林帯
800mから1800m
 スギに混じってモミ,ツガなどの針葉樹やヒメシャラ,ヤマグルマなどの広葉樹が生える。花はヤクシマショウジョウバカマ,イズセンリョウ,ミヤマシキミなど。
照葉樹林帯
0~1000m
 スダジイやアカガシなどの常緑広葉樹の新緑が低地から萌え登る。花は,エゴノキ,スダジイ,イイギリなど。実はアオキ,モチノキ類など。
海岸~低地
0~100m
すっかり新緑の出そろった海岸付近は春真っ盛り。低地では,亜熱帯性植物やノアザミ,ウマノアシガタなど春の草花の他,トベラ,シャリンバイなどの樹木の花々も盛りです。

山の図

標高差図

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◆屋久島【4月】の里近くでみられる植物◆

ポイントのGIFエゴノキ (えごのき科,花期3~5月)  低地~中山地  [西部林道]
エゴノキ
ポイントのGIF山地や林道脇に生える高さ7~8m程の落葉高木。樹皮は灰褐色でなめらか。葉は互生で,長さ5cm程の長卵形。
花は白色で径1~2cm程,先が5裂する。枝から下向きにいっぱい咲き,その清楚な美しさに見とれてしまう。
実は長さ1cm程の卵型で緑色。若い果皮は有毒で,すりつぶして川に流し魚を麻痺させるのに使った。屋久島では「メーノキ」「ロクロギ」と呼ぶ。
ポイントのGIFシャリンバイ (ばら科,花期3~5月)  海岸~低地 [吉田]
ポイントのGIF海岸近くに自生する常緑の低木。高さ1~5m程。枝は車輪状に出て特徴がある。葉は厚く光沢があり,公園樹としてよく使われる。枝先に直径1~1.5cmの白色の花を固まってつける。花弁は5枚。
和名は「車輪梅」で,葉が車輪状で,花が梅に似ることによる。
固い材質を生かしてクサビなどに使う他,大島紬の染料となる樹皮は漁網や釣糸の染料として使っていた。方言「ヘコハチ」。

シャリンバイ
ポイントのGIFハマヒルガオ (ひるがお科,花期3~5月)  海岸 [栗生]

ハマヒルガオ
ポイントのGIF海岸の砂地に生えるつる性の多年草。茎は砂の上をはい,葉は径2~2.5cm,濃緑色で円形,厚くてつやがある。
 葉のつけ根から花柄を出し,直径4~5cmの淡い紅紫色の花は,実にやさしく優雅である。花弁の中には5本の白いすじがある。種子や地下茎で増え,砂浜に群落をつくる。
ポイントのGIFトベラ  (とべら科,花期3~5月)  海岸~低地  [永田]]
ポイントのGIF海岸近くに生える常緑の低木。高さ2~4m。葉は卵形で長さ5~10cm,厚くて表面に光沢があり,ちぎると臭い。枝先に黄白色の花を咲かせ,芳香がある。花弁が5枚。花後は直径1cm程の緑色の実を付 け,秋には実が裂けて,中から真っ赤な種子が顔を出す。
 節分で枝葉を扉にはさみ鬼よけとしたことから,扉の木(トビラノキ,トビラギ)となり,トベラと呼ぶようになったという。

トベラ

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◆屋久島の【4月】海岸付近で見られる植物◆
(標高0~10m)

ポイントのGIF ハマボッス  (さくらそう科,花期4~7月) [永田]

ハマボッス
ポイントのGIF海岸の岩場や砂地に生える多年草。高さ10~40cm。茎は根元から数本立上がり,枝分かれし,普通赤みを帯びる。
 葉は互生で長卵形。肉質で光沢がある。茎の先に白い花を多くつける。花冠は1~1.5cmで深く5裂する。夏から冬にかけて褐色の実をつける。
 和名は「浜払子」(はまぼっす)。
ポイントのGIFハマウド (せり科,花期4~5月) [栗生]
ポイントのGIF海岸付近に生える高さ2m程にもなる多年草。茎には縦スジがあり,枝分かれして木のように立つが,水分が多く柔らかい。葉は厚く濃緑色で光沢がある。葉をちぎるとセロリに似た強い香がある。
 枝先にセリ科特有のニンジンに似た白い花をいっぱいつける。海を眺める場所に立つその姿は堂々としている。
 和名は,浜に生えるウドの意。

ハマウド
ポイントのGIF その他

海岸~低地
(花)
・ルリハコベ ・アメリカフウロ
・ウスベニニガナ ・チガヤ ・コマツヨイグサ
・スイバ ・ギシギシ ・ノアサガオ
・キダチチョウセンアサガオ ・カラスノエンドウ
・ツルボ ・スミレ

(実)
・ハマビワ ・ケウバメガシ ・キンギンナスビ   など 
海岸 (花)
・ハマエンドウ ・キキョウラン ・クサスギカズラ
・イワタイゲキ ・オキナワチドリ・ハマダイコン
・オオタキハチグルマ など

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◆屋久島【4月】の海岸~低地で見られる植物◆
(標高0~100m) 
ポイントのGIFウマノアシガタ (きんぽうげ科,花期3~5月)  [宮之浦]

ウマノアシガタ
ポイントのGIF荒地や道路脇に普通に生える多年草。高さ50cm程。茎の上に光沢のある直径1.5~2cm黄色い花をつける。花弁が5枚,がく片が5枚。葉は3つに深く切れ込む。花弁が6枚以上(重弁花)をキンポウゲと呼ぶ。群落を作り鮮やかである。
 よく似たキツネノボタンは,花びらが小さく実がやや大きい。いずれも有毒植物。
 屋久島の山頂近くには,特産種である極めて小型のヒメウマノアシガタがある。
ポイントのGIFノアザミ  (きく科,花期4~7月)  [宮之浦]
ポイントのGIF山野や土手に生える多年草。高さ70~90cm,茎の上部に赤紫色の管状花をつける。アザミ類は一般に夏から秋に花が咲くがノアザミだけは春から夏に咲く。
 若芽(茎),若葉はお浸しや和え物,味噌汁の具に,根はゴボウと同じように料理に使える。
 全草,薬用として人気が高い。
 このほか,海岸部にオイランアザミ,高所部にヤクシマアザミがある。

ノアザミ
ポイントのGIFハマサルトリイバラ (ゆり科,花期3~4月)  [栗生]

ハマサルトリイバラ
ポイントのGIF海岸近くに多い常緑のつる性の低木。茎は丸くトゲはほとんどない。葉は薄い革質で長さ10cm程の卵円形。葉柄には1対の巻きひげがある。枝先に黄緑色の小さな花を多数つける。雌雄異株。冬には直径7~8mmで球形の黒色の実をつける。
 よく似たサツマサンキライやサルトリイバラはトゲがあるので見分けられる。
ポイントのGIFメキシコマンネングサ  (べんけいそう科,花期4~5月)  [永田]
ポイントのGIF 道端や空地など湿ったところに生える多年草。茎は直立して高さ10~20cm程。薄緑色でとがった葉が輪生し,マツバボタンに似る。帰化植物。
 茎の先に黄色い花をつける。がく片と花弁は5枚。地面を覆うように黄花を咲かせる。庭などに植えることもある。
 屋久島には,他に,ヒメレンゲやコモチマンネングサなどがあるが,葉の形で見分ける。

メキシコマンネングサ
ポイントのGIFその他

海岸~低地(標高0~100m)
(花)
・ヒナギキョウ ・アヤメ
・マツバゼリ ・トウバナ ・ヒメコバンソウ
・ヤブジラミ ・ウマゴヤシ ・キツネノボタン
・フウトウカズラ ・スイカズラ ・カモジグサ

(実)
・ヤツデ  ・ヘビイチゴ 
・オオムラサキシキブ ・オオバヤシャブシ
など

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◆屋久島【4月】の低地~低山地で見られる植物◆
(標高500m以下) 

ポイントのGIFアキグミ (ぐみ科,花期4~5月)  [一湊]
アキグミ ポイントのGIF日当たりのよい山野や草原に生える落葉低木。河原などにも群生する。葉は長楕円形で互生。 葉の裏は,小さな星状毛(せいじょうもう)が密に生えているので銀白色に見える。
 白い筒状の花を,葉の脇に密につける。
秋に長さ1cm程の赤い実がたわわに熟すのでアキグミ。未熟の実は酸っぱいが赤く熟すとおいしい。
 子供の頃,おやつ代わりに食べた人も多いのでは。
ポイントのGIFイタチハギ (まめ科,花期4~5月)  [志戸子]
ポイントのGIF大正初期に渡来した北アメリカ原産の落葉低木。山林の砂防や護岸等に植栽されたが,現在は各地に野生化している。
 屋久島では,県道沿いに群落が数か所ある。高さ1~2m,葉は長楕円形の小葉が対生につく。枝先に長さ10cm程で茶褐色の穂状の花をつける。
 花後,長さ7~8mmの緑色の実を密につける。

イタチハギ

ポイントのGIFサカキカズラ (きょうちくとう科,花期4~5月)  [宮之浦]
サカキカズラ ポイントのGIF低地の林内に生えるつる性の低木。林縁の木に絡みつきはい上がる。
 枝はやや紫を帯び,葉は光沢のある長楕円形で「サカキ」に似る。枝先に直径1cm程の淡黄色の花を密につける。花弁は5つに裂け,よじれたように細い。
 秋には長さ10cm程の袋果が水平につき中から長さ3cm程の白い毛のある褐色の種子が飛び出し,風で飛ばされる。
ポイントのGIFクロバイ (はいのき科,花期4~5月)  [西部林道]
ポイントのGIF山地に生える高さ10m程の常緑高木。 葉は革質で長楕円形,濃緑色で光沢がある。花は白色で径約8mm,密につき,強い香りを放つ。
 4月頃,林内で木全体が花で覆われ,白っぽく見える様はひときわ目を引く。
 果実は長卵形で長さ6mm,黒く熟す。 樹皮が黒っぽいのでクロバイという。この木の根にツチトリモチが寄生する。
クロバイ
ポイントのGIFその他

低地~低山地
(花)
・スダジイ・ハイノキ ・イイギリ
・センダン ・サツマイナモリ ・タブノキ
・イヌガシ ・タイミンタチバナ・アオモジ

(実)
・アマクサギ ・マンリョウ ・センリョウ
・モチノキ  ・ホウロクイチゴ
・キジョラン ・コバンモチ など

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◆屋久島【4月】の中山地~高地で見られる植物◆
(標高500~1900m付近) 

ポイントのGIFアセビ (つつじ科,花期4~5月) [宮之浦]
アセビ ポイントのGIF屋久島では標高1000m付近から山頂に かけて生える常緑低木。庭木としても人気がある。高さ1~3m程。葉は細長くとがる。花はヤクシマシャクナゲより約1ヶ月早く,4月下旬から山頂付近を彩る。
スズランに似た壺形の白い花を房状につける。
和名は馬酔木(あせび)で,馬がこれを食べて酔ったことによる。有毒植物で枝葉の煎じ汁を害虫駆除に使った。
ポイントのGIFその他

中山地~高地
(花)
・ヤクシマショウジョウバカマ
・ヤクシマオナガカエデ
・ヤクシマキイチゴ
・オオゴカヨウオウレン
・イズセンリョウ ・ミヤマシキミ
・サクラツツジ ・ハイノキ
(実)
・サルトリイバラ
・ナナカマド
・アオキ など

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