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屋久島の植物ガイド

毎月,その月に屋久島で見られる植物を紹介します。この植物ガイドはその月の実際の調査結果に基づき,海岸や道路沿い,林道や登山道などで,花や実の見られる主な植物を紹介します。(屋久島環境文化財団発行「屋久島の植物ガイド」より)


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屋久島の植物ガイド【9月】
この月の様子 植物相 里地 海岸 低地 低山地 中~高山地

◆ 屋久島の【9月】 ◆


 「暑さ寒さも彼岸まで」,とは言え,9月の屋久島は相変わらずの暑さ。時たま降るにわか雨がひとときの涼しさをもたらします。
 9月と言えば「中秋の名月」屋久島の各集落では十五夜綱引きなどの伝統行事でにぎわいを見せます。野山では,ススキの穂が出始め,萩(はぎ)や葛(くず)の花も咲き始めています。自然の移り変わりを植物は肌で感じて,秋の到来を告げています。
 海岸ではサキシマフヨウのピンクの花,野原ではナンバンギセルの紫色の花,日中はまだ蝉(せみ)の声,そして夜になると「リーンリーン,ガシャガシャ」と秋の虫たちの大合唱と大変にぎやかです。
サキシマフヨウ(栗生塚崎海岸付近)

サキシマフヨウ(海岸近くに咲く)[栗生塚崎海岸付近]


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◆ 屋久島【9月】の植物相 ◆

ヤクシマダケ草原帯
1800m以上
 山頂部は緑に覆われヤクザサ帯には涼しい秋の風が吹きわたる。9月までは屋久島の高所植物の花が見られる。足元に特産種の小さな花を見つけよう。
 また,台風接近の時は登山は,無理をしないようにしよう。
スギ樹林帯
800mから1800m
 スギに混じってモミ,ツガなどの針葉樹やヒメシャラ,ヤマグルマなどの広葉樹が生える。登山道ではヤクシマママコナ,ヤクシマアザミ,ヤクシマツルリンドウ,ヤクシマカラマツ,ノギランなどの花が見られる。
照葉樹林帯
0~1000m
 スタジイやアカガシなどの常緑広葉樹林は,すっかり濃緑色の葉となり,深い森を形成する。花はハシカンボク,ヤクシマショウマ,ホソバハグマなど。実はスダジイやアブラギリ,アカメガシワなど。
海岸~低地
0~100m
 海岸の岩場には,イソマツやイソフサギ,砂浜にはグンバイヒルガオやハマグルマの花,低地ではサキシマフヨウやクズの花,ススキやエノコログサの穂なども見られます。また,9月から10月にかけてはイネ科やカヤツリグサ科の植物が咲きそろう季節です。 

山の図

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◆屋久島【9月】の里近くでみられる植物◆

ポイントのGIFヒガンバナ(ゆり科・花期9~10月)低地[春田浜]

ヒガンバナ
ポイントのGIF田の畦や川べりに生える多年草。秋の彼岸の頃,決まって赤い花をつけるので,「彼岸花」(ヒガンバナ)の名がある帰化植物。
 9月頃,高さ40~50cm程の花茎を伸ばし,赤い花を輪状に開く。細長い雄しべが多数つくのでとても美しい。花後,線形の葉が伸び,花と葉を同時に見ることはない。有毒植物だが,飢饉のときには鱗茎(りんけい)をさらして食用にしたという。
ポイントのGIFセンニンソウ(きんほうげ科・花期8~9月)低地~低山地[宮之浦]
ポイントのGIF山野や道脇など日当たりのよい所に生えるつる性の多年草。葉は対生で卵形の小葉が羽状複葉につく。葉柄がつる状で木などに絡みつく。
 葉のつけ根に円錐形の花序をつけ,径2~3cm程の白い花をびっしりとつける。花弁と思ってるのは4枚の白いがく片。雄しべが多数つくので美しい。有毒植物。
 和名は「仙人草」だが語源は不明。

センニンソウ
ポイントのGIFカワラケツメイ(まめ料・花期8~10月)低地[宮之浦]

カワラケツメイ
ポイントのGIF日当たりのよい野原や道端などに生える1年草。
 茎は直立し,細くて固い。高さ50~60cm程。枝を多数分岐して群生する。葉は互生,羽状複葉で20~30対の小葉をつけ,ネムノキの葉に似る。
 葉のつけ根に小さな黄色い花をつける。花後,さや状の豆果がつき黒く熟す。
 和名は河原に生える「決明(ケツメイ)=エビスグサの仲間」という意。全草,お茶(ケツメイ茶)や漢方に利用できる。
ポイントのGIク ズ(まめ料・花期9~10月)低地~低山地[栗生塚崎海岸]
ポイントのGIF山野に生えるつる性の多年草。全体に粗毛が生え,茎は長く伸びて10m以上にもなり,原野や木を覆う。葉は3出複葉で楕円形。
 初秋の頃,葉脇から総状花序を出し,紫紅色の蝶形花をつけ若葉,若芽は食用。根(葛根)のデンプンは,古くから食用・薬用に利用されている。方言「カンネンカズラ」。
 昔は太いつるを十五夜綱引きの綱の芯に使った。

クズ

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◆屋久島の【9月】海岸付近で見られる植物◆
(標高0~100m)

ポイントのGIFイソマツ(いそまつ科,花期9~10月)春田浜

イソマツ
ポイントのGIF海岸の岩上や岩の割れ目に生える多年草。茎は枝を多く分け,葉はへら形で肉厚,茎上に群がってつく。南方系の植物。その姿から「磯花火」(イソハナビ)とも言う。
 葉の間から高さ10cm程の花茎を伸ばし花序の先に淡紫色の花をびっしりとつける。
 和名は,茎の様子が磯に生える松に似るので「磯松」(イソマツ)の名がある。
ポイントのGIイソフサギ(ひゆ科,花期9~10月)春田浜
ポイントのGIF海岸の岩の割れ目にびっしりと張り付くように生える多年草。全体が無毛,葉は楕円形で肉厚。
 秋頃,びっしりとついた葉の間に,淡紅色の肉厚の花をつける。花びらのように見えるのは包葉で,中に黄白色の小花がある。冬でも枯れずに葉をつけ,花の残っているものもある。
 和名は,岩の割れ目をふさぐように生える姿から「磯ふさぎ」。

イソフサギ

海岸~低地(標高0~100m)
(花)
・ノアサガオ ・サキシマフヨウ
・オオキダチハマグルマ
・ウラジロフジウツギ ・アマクサギ
・モミジバヒルガオ

(実)
・アコウ ・ガジュマル ・シャリンバイ
・アオノクマタケラン ・トベラ
・クサトベラ ・ウバメガシ ・アオギリ など

海岸
(花)
・スナヅル ・ソナレムグラ
・シマチカラシバ ・ツルナ ・ハマタイゲキ
・ツキイゲ ・グンバイヒルガオ
・ネコノシタなど

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◆屋久島【9月】の海岸~低地で見られる植物◆
(標高0~100m) 
ポイントのGIFハマビワ(くすのき科,花期9~10月) 栗生塚崎海岸
ハマビワ
ポイントのGIF海岸林帯に生える常緑高木。高さ5~8m程。葉は濃緑色で光沢があり固い。葉裏は葉脈が隆起し,褐色の軟毛が密生する。その葉の様子がビワの葉に似ることから和名「浜枇杷(ハマビワ)」。また,シャクナゲの葉に似るところから「シャクナンショ」の呼び名もある。
 9月頃から,枝先の葉の間に黄白色の小花を密につける。実は翌年5~6月頃に美しい紺紫色に熟す。
ポイントのGIメドハギ(まめ科,花期8~9月)小島
ポイントのGIF草地や道脇の至る所に生える多年草。
高さ1m程。よく枝分かれし,低木状になる。葉は互生し,密生する3出複葉。
 夏に葉の脇から紫色を帯びた白い小さな花をつける。和名は「目処萩」と書き筮(メドギ)萩の略だと言われる。筮は占い に使う筮竹(ゼイチク)のことで,メドハギの茎枝を筮竹の代用に使ったらしい。
 地面をはうのは「ハイメドハギ」,十五夜に供えるのは紫紅色の花の「キハギ」。

メドハギ
ポイントのGIFオトギリソウ(おとぎりそう科,花期7~9月) 宮之浦
オトギリソウ
ポイントのGIF山野の日当たりのよい所に生える多年草。茎は丸くて固く直立する。葉は対生で楕円形,葉柄がなく茎を抱く。高さ1m程。枝先に径1.5cm程の黄色い花を咲かせる。花弁,がく片とも5枚。
 和名は「弟切草」。鷹匠(たかじょう)であった兄は,タカの傷薬としてこの草を秘薬としていたが,その秘密を他人に漏らした弟を怒って切り殺してしまったという平安時代の伝説からこの名がある。
ポイントのGIアキノノゲシ(きく科,花期9~10月) 宮之浦
ポイントのGIF山野に生える大形の多年草。夏に茎がどんどん大きくなり,高さ1.5m程にもなる。葉は多少アザミの葉に似るが,柔らかくトゲがなく,大きく切れ込んでいる。
 秋に径2cm程の淡黄色(時に淡青色)の頭状花をつける。和名はノゲシに似て,秋咲くのでこの名がある。茎や葉をちぎると白い乳液が出るので,方言「チチクサ」。ウサギなどが好んで食べる。

アキノノゲシ
ポイントのGIF その他

低地
(花)
・クマノギク ・オオバボンテンカ
・ゲンノショウコ ・ダンチク
・ツルソバ ・ツルマオ ・フカノキ
・トキワカンゾウ ・ツルボ
・ベニバナボロギク ・ウスベニニガナ
・キツネノマゴ・ムラサキカッコウアザミ
・シロノセンダングサ ・ハマスゲ

(実)
・チカラシバ ・コミカンソウ ・アキエノコロ
・オナモミ など

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◆屋久島【9月】の低地~低山地で見られる植物◆
(標高500m以下) 

ポイントのGIFナンバンギセル(はまうつぼ科,花期8~10月)宮之浦
ナンバンキセル
ポイントのGIFススキやミョウガ,サトウキビなどの根に寄生し,宿主から養分をもらって成長する。ススキの群生地に多い。葉緑素がなく,高さ15~25cm程の黄褐色の花茎を伸ばし,紅紫色の筒状花を咲かせる。
 万葉の植物名は「思草」(おもいぐさ)。遊女が首を垂れ,物思いしている姿に似ることによる。和名の「南蛮煙管」は,形がマドロスパイプに似ることによる。
ポイントのGIキンミズヒキ(ばら科,花期8~10月)ヤクスギランド線
ポイントのGIF山野や道脇などに生える多年草。茎は 直立して,全体に粗い毛がある。葉は互生,羽状複葉で,草状のイチゴに似た葉をつける。
 秋頃,高さ50~100cm程の花茎を伸ばし,黄色の小花を点々と咲かせる 水引きとは,進物の包み紙などに使う金,銀,紅白などの紙ひものこと。和名は紅白の花穂をつけるミズヒキに対して黄色の花穂を金色の水引きに例えたもの。

キンミズヒキ
ポイントのGIFオトコエシ(おみなえし科,花期8~10月)志戸子
オトコエシ
ポイントのGIF山野に普通に見られる多年草。葉は根元にロゼット状につき,太い茎が直立して高さ1m程。細長い葉が対生にまばらにつく。秋頃,枝の先に集散花序を出し多数の白い花をつける。よく似た秋の七草の一つであるオミナエシは,茎や花が小形で花が黄色である。
 和名は,オミナエシ(女郎花)に対して男性的であるためにオトコエシの名がある。若葉は山菜にする。
ポイントのGIタラノキ(うこぎ科,花期8~9月)宮之浦
ポイントのGIF山野に生える落葉低木。高さ4m程で,茎や葉に鋭いトゲがある。山菜でおなじみの植物で,新芽や若葉を食用にする。
 葉は大きく互生,枝先に集まって四方に広がり,楕円形の小葉が対生してつく。
 夏頃,茎の頂上に大きな黄白色の円錐形の花序をつける。よく似たウラジロメダラはトゲが少なく,5月頃花が咲く。

タラノキ

低地~低山地
(花)
・ツルラン  ・トサムラサキ
・センニンソウ  ・スイカズラ
・ノブドウ  ・カラスウリ
・エビヅル  ・ヤブマオ
・モロコシソウ ・オニヤブマオ
・カラムシ

(実)
・クマノミズキ ・ウラジロエノキ
・アカメガシワ ・リンゴツバキ
・シマイズセンリョウ ・マムシグサ
・アブラギリ など

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◆屋久島【9月】の中山地~高地で見られる植物◆
(標高500~1900m付近) 

ポイントのGIFホソバハグマ (きく科,花期9~10月 ヤクスギランド線)

ホソバハグマ
ポイントのGIF屋久島の固有種。標高200m以上の沢の岩上や水しぶきのかかる場所に成育する多年草。高さ20cm程。細長い葉を根元にロゼット状に広げ,長さ15~20cm程の花茎を伸ばし,淡紅色の花を密につける。
 ヤクスギランド線の沢沿いには,よく見られる植物で,岩を覆うほどの大群落も時に見かける。
 この仲間には,キッコウハグマ,モミジバキッコウハグマ,マルバキッコウハグマなどもある。
ポイントのGIFその他

中山地~高地
(花)
・ヤクシマショウマ ・ノリウツギ
・ノギラン・ヤクシマホツツジ
・ヤクシマアザミ ・ケイビラン
・ヤクシマツルリンドウ ・イッスンキンカ
・ヤクシマカラマツ ・ヤクシマママコナ
・ヤクシマフウロ ・ヤクシマコウモリ
・ヤクシマヒヨドリ ・ツクシゼリ
・ヤクシマシオガマ

(実)
・ヤクシマオナガカエデ ・アセビ
・タンナサワフタギ ・ヤマボウシ
・マルバヤマシグレ ・アブラギリ
・コバノフユイチゴ ・ナナカマド
・アクシバモドキ ・イソノキ
・ヤマグルマ ・ヒメカカラ
・アオキ ・シキミなど

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